腫瘍新生血管へのsiRNA送達による腫瘍微小環境の制御とナノ粒子浸透性の向上

グループ担当教員:櫻井 遊 特任助教

腫瘍組織は血管新生が盛んであるために、血管透過性が亢進している。これは、1986年に提唱されたEPR効果の基本的原理です。今日ではこの戦略を利用し、がん治療薬として様々なナノ粒子が開発されてきました。一方近年では、腫瘍組織の血管を中心とした微小環境は想定以上に複雑な構造をしていることが明らかになってきました。
血管は正常組織と異なり階層的な構造をしていません。このため、血流は澱む、あるいは途絶えている血管も存在します。また、血管からナノ粒子が漏出したとしても、血管外にはコラーゲンなどの多くの細胞外基質が、ナノ粒子のがん細胞への近接を邪魔していると考えられています。これは、車に例えれば道路が寸断されていたり、道路に物が置いてあって車がスムーズに通行できないような状態だと言えます。

ナノ粒子送達に関わる腫瘍内微小環境

私たちは“車(=ナノ粒子)”の動きをスムーズにするために、“道路(=血管)”を整えてしまうという戦略を立てました。これを達成するために、第一期目の成果である腫瘍血管内皮細胞に低分子化合物や核酸といった薬剤を送達する技術を応用し、ナノ粒子の道路とも言える血管を作り替え、ナノ粒子による効率的な治療を可能にする治療法の創製を目指します。