グループ担当教員: 畠山 浩人 特任助教





























腫瘍組織ではがん細胞が増殖しているため血管新生が盛んです。この新生血管は透過性が亢進し、走行が乱雑であるなど正常組織とはその構造が大きく異なります。2004年には血管新生を標的としたアバスチンが認可されるなど、血管新生阻害が新しいがん治療法として広まりつつあります。しかし、現在の血管新生阻害は正常組織の血管までも攻撃してしまうため、副作用の面ではまだ大きな問題が存在します。

近年の研究において、血管を形成する血管内皮細胞においても、腫瘍組織と正常組織で性質に大きな差があることが明らかとなりつつあります。本プロジェクトでは、この腫瘍血管内皮に特異的なマーカー(鍵穴)を狙った革新的デリバリーシステムの開発を目指します。




薬剤分子設計学研究室では、独自の人工遺伝子ベクターとして多機能性エンベロープ型ナノ構造体(Multifunctional envelope nano device : MEND)の開発を進めており、このMENDに腫瘍血管内皮特異的なリガンド(鍵)を修飾することにより、腫瘍血管内皮細胞にのみ選択的に薬剤・遺伝子を送達可能とするデリバリーシステムの構築を行います。最終的には治療用薬物・機能性核酸を搭載し新生血管を阻害することにより、腫瘍組織へ栄養が行き渡らなくなり、いわば兵糧攻めの形で腫瘍の縮小・消失しがん治療が可能となり、副作用のない次世代型の治療の創製を目指します。