特異な構造様式を持つ生物活性天然物の全合成

 「複雑な天然物の全合成」が有機化学のキーワードとして隆盛であった一昔前と違い、全合成研究の意義は今日多様化しています。しかし全合成研究が有機合成化学の華であり、かつそれが有機合成化学者の究極の使命であることは現在も変わりません。
 当研究室では創薬のリード化合物の設計および合成を念頭に、構造上興味深くかつ有用な生物活性をもつ以下の化合物の全合成研究に現在取り組んでいます。

  1. ザラゴジン酸C
     スクアレン合成酵素阻害作用を示すこの化合物は、創薬のリード化合物としての興味もさることながら、2,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン骨格に三つのカルボキシル基をもち、さらに二つの疎水性側鎖が両手を広げた特異な構造をしています。当研究室では2つの異なる合成戦略に基づき、その全合成を達成しています。

    Zaragozic Acid C
  2. ピンナトキシンA
     Ca2+チャネル活性化作用を示す両性イオン性大環状ポリエーテルです。エキソ選択的なDiels−Alder反応、マクロ環化異性化反応を鍵段階とする合成経路により全合成を達成しました。

    Pinnatoxin A
  3. ヒグロリジン
     骨粗鬆症治療薬としての可能性を秘める大環状マクロリドで、計算化学を駆使してその全合成を世界に先駆けて達成しました。

    Hygrolidin
  4. ポリガロリド類
     中国南部で抗肝炎薬および強壮薬として用いられている生薬から単離・構造決定された化合物で、カルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応を鍵段階とする合成経路により全合成を達成しました。

    Polygalolide A

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北海道大学大学院薬学研究院 薬品製造化学研究室

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