卒業生からのメッセージ

Kさん 平成20年 博士課程修了(現)旭川医科大学 薬理学講座

 現在私は、旭川医科大学で助教(以前の助手にあたります)として医学部生への授業や実習を行いながら、心筋梗塞や脳梗塞の予防を目的とした血液の研究を行っています。私は一浪を経て北海道大学薬学部に入学し、大学院を含めると9年間を北海道大学で過ごしました。私が薬学部を目指したのは、「医療に興味があり、薬を通して人の役に立つ様な研究をして社会に貢献したかったから」などというのは建前で、医療関係に興味があったのは本当ですが、受験前に将来の展望を具体的に描けていたわけではありません。「生活の中で身近な存在の薬、そんな薬のエキスパートってかっこいいかも」、本音はそんなところです。私が入学した当時の薬学部はまだ4年制でしたので、薬剤師か研究職かといったことはほとんど、というか全く考えていませんでした。入学時に4年制か6年制を選べと言われても、難しいと思う人が多いのではないでしょうか。また、実際に大学で学ぶ間にも考えは変わるものです。環境は違いますが、私の周りには「医者を目指していたはずが、いつの間にか研究が面白くなってしまった」という方が何人もいます。自分が将来は具体的に何をしたいのか、今の時点ではなかなか決められないというのも普通のことだと思います。北海道大学の薬学部では、3年生の時点で4年制の薬科学科と6年制の薬学科のどちらに進むのかを選択することができます。定員が設けられているのが悩ましいところではありますが、実際に入学して授業を受け、先生や先輩から情報を集めた後に進路を選択できるという点は、薬学部の中で北海道大学を選ぶ大きなメリットだとひいき目無しで思います。選択を先延ばしにするのではなく、将来の選択肢の幅を広げる、というのも大事な決断です。また、医療系の学部の中でも、薬学部は就職先の選択肢が多いのではないかと思います。
 私は決して優秀な学生ではありませんでした。就職の厳しさも身をもって体験しましたし、現在の職に就けたのはただ運が良かっただけです。これを読んでいただいている皆さんには、ぜひ大学の面接や就職活動でアピールできるようなものを今から身に付けていって欲しいと思います。アルバイトやサークル活動の話しは誰でもできます。それ以外の何かです。大学を含め、そういった特技や経験も手段に過ぎませんが、目的がはっきりとした時にそれを達成するための武器になります。そのためにも「行ける大学」ではなく「行きたい大学」を選んで欲しいと思います。私の高校最後の模試の判定はたしかDランクです。結果、冒頭に触れた様に浪人することになりましたが、後悔はしていません。さて、そんな苦労をして入学した北海道大学ですが、実際に入って良かった点を伝えようと思っても他の大学とは比較しようもありませんので、正直わかりません。ただ、9年間とにかく楽しかったです。北海道大学在学中に得られた経験や人脈は私にとっての貴重な財産です。
 最後に私から皆さんへ一言。「後悔だけはしないように決断して下さい」。ただそれだけを願うのみです。頑張って下さい。

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