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2020.04.09プレスリリース
北海道大学大学院薬学研究院の木原章雄教授らの研究グループは,涙液中に存在するオメガ水酸化脂質がドライアイを防止していることを明らかにしました。
涙液は外界と接する外側の油層と内側の液層から構成され,外側の薄い油の層が内側の水分の蒸発を防いでいます。しかし,”油と水”という交わるはずのない両者がどのように交わって安定な涙液を形成しているのかは大きな謎でした。研究グループは,オメガ水酸化脂質の一つであるOAHFA(オーファ)という油と水の両方に混ざり合う性質を持つ脂質とその代謝物が安定な涙液の形成に重要であることを見出しました。また,これらのオメガ水酸化脂質を作り出す酵素を同定し,この脂質を作ることができないマウスがドライアイを示すこと,涙液中には多様なオメガ水酸化脂質群が存在することなどを明らかにしました。
ヒトのドライアイの主要な原因は油層の異常ですが,これまで油層をターゲットにした薬は存在しません。本研究成果は,ドライアイの新たな治療薬の開発につながると期待されます。
なお、本研究は,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)「画期的医薬品等の創出をめざす脂質の生理活性と機能の解明」研究開発領域(研究開発総括:横山信治)における研究開発課題「脂質による体表面バリア形成の分子機構の解明」(研究開発代表者:木原章雄)の一環として行われました。
また,本研究成果は,2020年4月7日(火)公開のeLife誌に掲載されました。
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