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薬剤耐性菌にも有効な抗生物質のヒトへの毒性を抑制 ~ツニカマイシン-GPT複合体の構造解析に成功~

2018.02.20プレスリリース

北海道大学大学院薬学研究院の市川 聡教授とデューク大学のシー・ヨン・リー准教授は,抗生物質に耐性がある菌にも効果が期待されるツニカマイシン類について,感染症への効果を維持しつつ,ヒトへの毒性を抑えた新しい化合物の合成に成功しました。

バクテリア感染症の治療に使われる抗生物質は非常に強力ですが,抗生物質の使用には,抗生物質に耐性がある薬剤耐性菌の出現が伴い,創薬の歴史は,薬剤と薬剤耐性菌の「イタチごっこ」であると言えます。薬剤耐性菌の蔓延は地球規模の深刻な問題であり,耐性菌にも有効な「最後の砦」の開発が急務です。

古くから知られている天然物の抗生物質であるツニカマイシン類は,バクテリアの細胞壁の構成成分であるリピド I を合成する MraY と呼ばれる酵素を阻害し,薬剤耐性菌にも有効です。しかし,ツニカマイシンはヒトのGPTと呼ばれる酵素も阻害してしまい,ヒトに毒性を示すため,これまで抗生物質として用いることができませんでした。

GPTは小胞体膜貫通型と呼ばれる酵素で,X線構造解析が難しいタンパク質です。今回,リー准教授は,世界で初めて GPT とツニカマイシンとの複合体の結晶構造解析に成功しました。市川教授は,この複合体構造に基づいた薬物設計(SBDD1により,MraYには認識される一方GTPには認識されない化合物を設計しました。合成した化合物は,バクテリアへの効果(MraY阻害能力)を保持しつつ,ヒトへの毒性(GPT阻害能力)が約1/1000に低下していることを明らかにしました。本研究で解明された構造情報は,ツニカマイシンを基盤とした毒性の低い新しい抗生物質開発の指針となることが期待されます。

なお,本研究成果は,英国時間2018219日(月)付けでNature Structural & Molecular Biology(英国科学誌)に掲載される予定です。

 

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