北海道大学大学院 薬学研究院 創薬科学部門 創薬化学分野
薬化学研究室 Laboratory of Medicinal Chemistry
 

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 4. 遺伝子損傷の選択的検出法の開発

我々の遺伝子は様々な環境にさらされることで、常に損傷が起こっています。ほとんどの損傷は生体内で修復されることで、我々の体は正常な状態にあります。 しかし、修復されなかった遺伝子損傷は癌などの疾患の原因となることが明らかとなっています。

たとえば、放射線により細胞内の DNA に5-ホルミル-2’-デオキシウリジンできた場合、下図に示すように元々 T-A 塩基対であったものが複製の際に5-ホルミル-2’-デオキシウリジンの向かい側に G(グアニン)塩基が取り込まれ、さらなる複製により最終的に C-G 塩基対へと変化します。このような遺伝子配列の変異は癌化のメカニズムの一つです。

このような遺伝子損傷を定量する技術が癌の診断に有効です。我々は個々の遺伝子損傷部位を他の損傷核酸や通常の核酸等と分けて化学的に反応させる試薬の開発を行っています。これまでに、酸化損傷の一つである2-デオキシリボノラクトン (L) の選択的検出法を開発しました。現在、ピリミジンの損傷の一つである5-ホルミル-2’-デオキシウリジンを選択的に検出する方法の開発を行っています。