ご挨拶

この度、第43回生体膜と薬物の相互作用シンポジウムを2022年10月6日(木)~7日(金)に北海道大学大学院工学研究院の鈴木章ホールにて開催することになりました。

生体膜と薬物の相互作用シンポジウムは、1976年に物理化学系の研究者の中垣正幸先生(京都大学)と小畠陽之助先生(北海道大学)が中心となり組織されたシンポジウムで、日本薬学会が主宰する数多くのシンポジウムの中でも最も長い歴史と伝統を持つシンポジウムです。当時は生体膜研究の黎明期であり、生体膜に関する物理化学的研究が中心でありましたが、その後、分子生物学、細胞生物学の急速な進歩と、薬剤学・薬物動態学の分野も加わり、本シンポジウムは生体膜に係わる生命現象の解明と創薬の基礎から臨床までをカバーする学際的でユニークな研究発表・情報交換の場となり、今日まで発展してきました。

2020年3月のパンデミック宣言依頼、人類は新型コロナウイルスにより大打撃を受け、本シンポジウムも2020年は延期、2021年はオンライン開催となっています。新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンの開発により、人類はコロナ禍から復活しつつあり、ワクチンに関する研究は非常にホットな研究領域となっています。mRNAワクチンにおいては、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の性能が薬効を支配する鍵となっており、脂質ナノ粒子に関する研究やその調製法として注目されているマイクロ流体デバイスに関する研究にも大きな関心が寄せられています。

本シンポジウムでは、マイクロ流体デバイスの開発で世界をリードしている渡慶次学教授(北海道大学工学研究院)に特別講演を依頼し、マイクロ流路の設計が脂質ナノ粒子の物性と薬効に及ぼす効果を体系的にご講演いただきます。さらに、最近注目されているミトコンドリア治療について、ミニシンポジウム1で特集を組むことになりました。また、ミニシンポジウム2では、新型コロナワクチン・治療薬に関して、塩野義製薬株式会社と第一三共株式会社からホットで最新の話題を提供していただけることになりました。ミトコンドリア、ワクチン、DDSに焦点を当てたタイムリーなミニシンポジウムを企画しています。

一般講演とポスターの部では、最優秀発表者賞も設けております。若い研究者の皆様、奮ってご参加ください。

2022年3月末日

第43回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム
実行委員長 原島 秀吉(北海道大学)