北海道大学大学院 薬学研究院 創薬科学研究教育センター 有機合成医薬学部門

研究内容

2. 生理活性天然物の創薬への展開

天然物は良い創薬リードではありますが、天然物そのものを医薬品にする事は難しいです。つまり、天然物に分子設計を施すことでより単純な薬らしい分子へ進化させる必要があります。天然物の活性や機能を保持したままその構造を単純化することは、製造・時間的コストの削減ばかりではなく、後の化学修飾による活性増強やADMETの改善を可能にします。我々は、構造活性相関の検討と計算化学に基づいた論理的な薬物設計を行うことで、天然物の単純化をすすめるとともに、活性物質のプローブを用いた標的の同定や結合様式の精密な解明も行い、作用機序の解明や論理的な薬物設計も目指します。

天然物の構造活性相関研究のほかに、以下のような研究も進めてきました。例えば、caprazamycin類の構造活性相関と計算化学による論理的な薬物設計により、天然物と同レベルの抗MRSA,VRE活性を有し、分子量を2/3に低減したイソキサゾリジン型誘導体を見いだし、さらにドミノ型分子内1,3双極子環化付加反応を用いる事で、より効率的・包括的な合成も行いました。抗がん活性を有するstaurosporinの単純化研究も行い、その過程で、強力かつ選択的なプロテインキナーゼ阻害剤を見つけました。

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