お知らせ

【追悼】金岡祐一 名誉教授(旧薬品合成化学講座)

2022.02.01

「金門会」は続く・・・

小田 和明(18期)

昨年の5月、ご親族の方から薬品合成化学講座を主宰された金岡祐一名誉教授がご逝去なされたことのお知らせいただきました。それ以降我々教え子は早急に「偲ぶ会」開催をと考えましたが、衰えることのないコロナ禍で全国規模の「金門会(金岡研究室同門会・・略して金門会)」は延期せざるを得ないと言う結論でした。昨年の9月下旬、北海道で第5波の収束の兆しが見え始めた頃から中山先生(11期)、小田(18期)、中野さん(19期)が幹事となり「金門会(北海道)」だけでもなんとか開催できないかという思いが募りました。それ以降新規感染者数の増減に一喜一憂しながら、日程調整、会場の確保、関係者(30数名)への連絡などを行いなんとか昨年11月13日(土)に札幌グランドホテルでの開催へとこぎつけました。

当日は函館(22期佐藤さん)や旭川(36期清水さん)からもご参加いただきましたが、このコロナ禍と我々幹事の力不足もあり11名の出席に止まりました。参加できない旨の返信はやはり諸々の健康問題、そして何よりコロナ禍の広がりを懸念するものでした。そんな中で同じ関連有機化学系講座元教授で同窓会会長松田彰先生(15期)にご参加いただけたことは参加者全員の望外の喜びでした。

会は会場に設けた祭壇上の金岡先生の笑顔の御遺影への全員の白菊の献花から始まりました。献杯の後中山先生からパワーポイントを用いて金岡先生の膨大な研究業績、暖かくユーモアに富んだ先生のエピソードの数々が紹介され我々に金岡先生の在りし日の姿が鮮やかに蘇ってきました。「金岡先生の思い出」を皆さんから語っていただくコーナーでは、松田先生から最初の海外での学会発表の際に金岡先生から受けた暖かいサポートやお二人のエピソードのご披露に始まり、参加者全員から(欠席された秘書の方を含む多くの方々から寄せられたエピソードも含めて)想い出の数々をお話いただきました。

皆さんのお話を伺いながら金岡先生の歩まれた道を高く聳える霊峰に例えて考えて見ました。中山先生(11期)のように講座開設当初から先生と歩みを揃えて麓から一歩一歩と登り始め、かなりの標高まで到達しその眺望を見ることのできた方々。また笠羽さん(16期)、酒井さん(17期)、私(18期)や中野さん(19期)、佐藤さん(22期)のように講座開設10年あまりを経て先生の研究も軌道に乗り方向性もほぼ確立した後に、頂が全く見えない中で途中の山腹から先生の指し示すままに登り始めた方々(正直に言うと私にとっては自分がどのあたりを登っているのかさえ判らない状態でした)。さらに時を経て講座充実期に在籍した中村さん(26期)、清水さん(29期)、橋本さん(32期)、林さん(36期)などのように霊峰の全貌がほぼ明らかとなり、かなりの標高から登り始めその高さを実感し頂近くからの眺めの素晴らしさを目の当たりにできた方々。いずれも登り始めの標高は異なるとはいえこの霊峰の山行に先生とともに参加できたことの喜びを実感として語っていただきました。当初参加者の少なさから会の盛り上がりを危惧していました。しかし皆さんの濃厚な想い出の数々から改めて金岡先生の研究者、教育者としての偉大さは勿論のこと学生一人一人に対する細やかな心配りや優しさを改めて想起させてくれた貴重な時間となりました。

最後に参加者の皆さんとこれからの「金門会」の継続的な発展とそこに集った同門の方々のますますの活躍を期して散会となりました。我々に残された霊峰の頂は遠くこれからも先生の遺志を継いで登り続けなければいけないとの思いを強くした1日でした。

追記:この会はここに述べた金岡先生を偲ぶ会であるとともに金岡研の研究を今も継続されている橋本 誠さん(32期)の農学部教授就任を祝う会でもありました。併せて報告させていただきます。