お知らせ

【研究最前線】非ドメイン型のタンパク質・RNAによる生体制御/中川真一(RNA生物学研究室 教授)

2022.09.30

重要な機能を持つRNAやタンパク質などの機能性高分子の一次配列は種間で広く保存されており、そのように高度に保存された配列は特定の立体構造へと折りたたまれ、その立体構造が特異的な分子間相互作用を仲介することで様々な生体反応が制御されている。

教科書から抜き出してきたようなこの一文。Anfinsenのドグマとも呼ばれる、配列–構造–機能のこの相関があるからこそ、新規に同定された分子であっても配列をBLASTに放り投げてクリック一発。その検索結果から、「あ、これはリン酸化酵素だね」とか、「なるほど細胞外にIgGドメインを持つ接着分子か」のようにある程度機能に当たりをつけることができ、その機能予測に基づいた合理的な解析を行うことで、分子生物学は爆発的な発展を遂げたと言っても過言ではないと思います。

ところが最近になって、特定の決まった立体構造を取らなくても、というよりむしろ取らないからこそ機能を発揮できる一連のタンパク質や RNAが存在していることが次々と明らかになり、我々はそれらを総称して「非ドメイン型バイオポリマー」と呼んでいます。非ドメイン型 バイオポリマーは特定の立体構造を取るドメイン型の生体高分子と協調して働き、極端な分子夾雑環境にある細胞内においても複数の反応が効率よく、かつ、混線せずに進行するための一種の「場」を提供していると考えられています。このような非ドメイン型バイオポリマーを利用することで、ALS やアルツハイマー病 など、病原性凝集体の形成を伴う疾患の治療や、超高効率なin vitroの反応系の開発が期待されています。

では、具体的に、どのような局面で非ドメイン型バイオポリマーが働いている姿を見ることができるのでしょうか。(一部抜粋)

全文は同窓会HPの「芳香SCIENCE」から閲覧できます。

ご意見ご感想などございましたら、下記メールアドレス宛にお願いいたします。