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【芳香SCIENCE】完全治癒を果たした抗HCV剤の開発/加藤宣之 (20期)

2022.10.21

2020年10月、ノーベル生理学・医学賞に「C型肝炎ウイルス(HCV)の発見」の功績で米研究所のHarvey Alter博士(85)、 カナダの大学のMichael Houghton博士 (71)、 米大学のCharles Rice博士(68)の3人が選ばれた。1970年代にAlter博士がウイルスの存在を提唱し、1989年Houghton博士がその感染検体からウイルス遺伝子を分離し、最後に1997年Rice博士がそのウイルスの病原性を証明した功績による受賞であった。

学術上HCVの発見は1989年になっている。それまでは、A型や B型肝炎ウイルスの予防法や診断法が確立された後にも頻発していた輸血後肝炎の原因ウイルスとして非A非B型肝炎ウイルスと呼ばれていた。この肝炎の70-80%は慢性化し、十数年後には、その半数程度が肝硬変そして年率7%程度で肝がんを発症する。HCV発見当時、約2億人が感染していると推定されたことから、この肝炎の制圧を目指した研究が急速に展開された。そして、発見から約30年の時を経た2017年、8週間経口摂取するだけで副作用もほとんどなくHCVをほぼ100%体内から排除できる薬剤がついに実用化された。

このような画期的な医療上の進歩があったことから、研究の源がノーベル賞の対象となった。しかし、ここに行き着くまでには決して平坦な道のりではなく、五里霧中で一進一退を極めた時期もあった。そんな中、一気に問題が解決するようなブレイクスルーもあった。

本稿では、画期的な抗HCV剤を誕生させるために奮闘した研究者達の研究の軌跡をたどりながら何が成功に導くための重要なポイントであったのかを振り返ってみることにする。(一部抜粋)

全文は同窓会HPの「芳香SCIENCE」から閲覧できます。

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