工学研究院 研究内容

マイクロ流路グループ

脂質ナノ粒子の粒径を任意のサイズで
精密に作製できるデバイス開発

医薬品分野を中心に粒径を精密に制御された脂質ナノ粒子製剤の需要が高まっている。特に、薬物送達システム(Drug Delivery System: DDS)技術を利用した医薬品において、ナノ粒子の大きさによって送達される臓器や薬効が異なることが報告されている。

この課題を解決するために、マイクロ流体デバイスチームでは、脂質ナノ粒子の粒径を任意のサイズで精密に作製できるデバイス開発に取り組んでいる。脂質ナノ粒子は、脂質/アルコール溶液と核酸などを含む核酸水溶液を迅速に希釈することが重要である。これまでに、当チームでは、マイクロミキサー構造を有する脂質ナノ粒子作製用のマイクロ流体デバイスを開発した(iLiNP(invasive Lipid Nanoparticle Production)。iLiNPデバイスは、中性リン脂質であるPOPC(1-Palmitoyl-2-oleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine)のナノ粒子の粒径を10 nm間隔で精密に制御することに成功している。また、核酸搭載脂質(siRNA、mRNA)ナノ粒子のほか、高分子ミセルナノ粒子を精密に粒径制御して作製することも可能である。

本プロジェクトでは、iLINPデバイスによる脂質ナノ粒子の大量生産プロセスの確立、ガラス製iLINPデバイスの開発、ナノ粒子の作製プロセスを高効率化した新規デバイスの開発などに取り組み、社会実装を見据えて研究を展開する。

 

iLiNPデバイスによる脂質ナノ粒子作製法
(ACS Omega, 2018, 3, 5044-5051から引用)