―アイン薬局の例―
―北海道大学薬学部―
     
 
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処方せん受付 }
処方せんの鑑査  
疑義照会
薬剤の調製
 
薬剤の鑑査
服薬指導・薬剤の交付
 

 来局した患者さんから処方箋やお薬手帳をお預かりし、調剤をするための準備をします。まず、受け取った処方箋からその患者さんの薬歴を取り出します。初めての新患の場合は患者さんにアンケートを記入してもらいます。次に処方箋の内容を確認してお薬代の計算をします。たいていの薬局ではレセコンというコンピューターに処方内容を入力することにより、お薬代が計算され、その内容は調剤録という帳票に印刷されます。レセコンからはその他に、薬袋、お薬情報文、お薬手帳用ラベルが印刷されてきます。これらを処方箋、薬歴と一緒にカゴに入れて調剤担当者に渡します。処方箋受付は、患者さんが薬局で最初に接する段階です。患者さんに信頼と安心感をもってもらえるように、笑顔で挨拶をし、患者さんを思いやった応対や声かけをすることも重要です。
 

 ここでは、処方箋の内容とレセコンに入力した内容をチェックします。まず、処方箋の内容のチェックでは、処方内容に記載ミス、薬品の相互作用、副作用などについて薬学的な観点から確認します。処方箋のみではなく、薬歴などの患者情報などから、アレルギーや他に飲んでいる薬などとの相互作用についても確認し、患者さんがお薬を安全かつ有効に服用できるかどうか判断します。お薬について心配な点があった場合には、医師に疑義照会(「疑義照会」を参照)をして確認します。次にレセコンの入力内容のチェックでは、処方箋に書かれた内容が正しく入力されているかどうか処方箋と調剤録とを照らし合わせます。照らしわせる内容は処方内容のみではなく保険情報、病院名、医師名などについても確認します。レセコンに入力することにより、お薬代が計算されたり、薬袋、お薬情報などが印刷されたりするので、しっかりと確認することが重要です。
 

 
 ここでは、さきほど確認された処方せん通り正確に薬を取り揃えます。薬には同じ名前でも規格(量)が違うもの、錠剤、カプセル剤といった剤形が違うものがあります。また、中には効果は全く違うにも関わらず、非常に似た名前の薬もあります。もしこれらを間違ってしまった場合、患者さんに大変な事態を引き起こしてしまいます。できるだけ間違いが起こらないように、薬品棚には様々な工夫がされており、薬剤師は正しい名前の薬を、正しい規格、剤形で正しい量を調剤します。
 
 

 シロップ剤は、主にこども(新生児〜幼児)が飲みやすいよう甘く味付けされている薬です。こどもは日々心身共に成長し、それに伴い生体機能も著しく変化します。錠剤、カプセル剤は量が決まっていること、またこどもにとって大きく飲みにくいということが挙げられますが、シロップ剤や散剤は一人ひとりにあわせて細かく投与量を調節しやすいため、よく用いられています。メートグラスというガラス器具を使用し、正しい量になるよう調製します。
 
     
 
 散剤とは粉末や顆粒などのいわゆる粉薬のことで、錠剤などに比べて服用量を細かく設定できるなどのメリットがあります。この実習では、医師から処方された量の散剤を正確に量り、一回分ずつ包装していきます。写真は散剤を量り取っているところです。複数の薬が処方された場合には、それぞれのお薬を量った後、しっかり混ぜ合わせてまとめて包装し、服用しやすくしたりします。また、錠剤が服用できない患者さんのために錠剤を粉砕して散剤にすることもあります。
 
     
 
 患者さんのなかには毎日たくさんのお薬を服用する方がいます。また、服用する時間により服用するお薬の数や種類が変わったりもします。このような患者さんが、いつ、どれを飲むのかをわかりやすくするため、朝の薬、昼の薬、夜の薬・・・のように飲むお薬をまとめて包装しています。このような調剤の仕方を一包化と呼んでいます。実習では写真のようにパソコンを操作し、自動分包機を使って一包化しています。一包化することで、飲み忘れや飲み間違えによる病気の悪化、副作用の危険を防ぐことができます。
 
     
   
 調剤された薬が処方箋どおり調剤されているかどうかを確認します。まず、処方箋の内容について、処方鑑査を行い、処方内容に問題がないことを確認します。その後、錠剤、散剤、液剤などの数量や、シートから出されて分包された裸の錠剤では、その表面に書かれた記号を確認して、最後に薬袋やお薬情報、お薬手帳ラベルなどの表記をチェックします。調剤された薬を鑑査することは調剤過誤を防止するために極めて重要であり、できるだけ調剤した人とは別の人が担当することが望ましいです。そのため鑑査者は調剤工程をよく知ることと、患者背景や医薬品情報などから処方内容が適切であるかどうかについて判断することが必要です。        
     
   
 患者さんに正しくお薬を服用していただくために、薬の飲み方や注意点を説明する段階です。まず、薬剤交付前に処方箋、薬歴、その他の情報から指導計画を立てます。特に再来の患者さんについては、前回指導した内容と引き継ぎ事項をよく確認します。次に患者さんのお名前を呼び、あいさつ、自己紹介、時間の有無を確認します。続いて、患者情報、服薬状況、服薬中の体調変化、副作用の有無、他科受診、併用薬や薬効に影響する飲食物の有無などを確認し、処方されている薬剤の数の確認と飲み方などについて説明します。説明した内容が理解されているか、不安に感じていることがないかどうかについても確認します。服薬指導・薬剤の交付では、調剤された薬が正しく調剤されているかを確認し、そのお薬が患者さんに役立つように適切に説明することが重要です。        
     
   
 患者さんに交付されるお薬の疑問点について医師に問い合わせることです。疑問点としては、処方箋の記載もれやわかりにくい点、患者さんが医師に伝え忘れていたこと、患者さんから聞き取った情報から考えられる心配な点などがあります。手順としては、まず事前に疑問点を整理しておきます。次に電話をして医師に疑問点をわかりやすく簡潔に伝えます。通常、電話で行われることが多いですが、FAXの場合もあります。医師に確認した内容は必ずメモをとり、その内容は聞き間違えがないかどうか復唱して再確認します。最後に、お礼のあいさつをして電話を切ります。疑義照会は、患者さんが安心してお薬を服用するために薬剤師が行うとても重要な業務です。        
     
   
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