活動状況・利用成果

イベント

創薬ネットワークセミナーが開催されました

創薬ネットワークセミナーポスターはこちら

 

日時:

2014年7月7日(月) 17:00~19:00

会場:

北海道大学 医学部 臨床大講堂( 札幌市北区北15条西7丁目)

 

プログラム:

17:00~17:05  未来創薬・医療イノベーション拠点形成の紹介

高山 大( 未来創薬・医療イノベーション推進室 室長 特任教授)

 

17:05~17:10  創薬科学研究教育センターの紹介

前仲 勝実(大学院薬学研究院創薬科学研究教育センター センター長 教授)

 

17:10~18:05  座長/佐藤 典宏( 高度先進医療支援センター センター長 教授)

「VA-liposome  siRNA47を用いた 線維症治療の臨床展開」

新津 洋司郎 先生(札幌医科大学 分子標的探索講座 特任教授)

 

18:05~19:00  座長/前仲 勝実( 大学院薬学研究院創薬科学研究教育センター センター長 教授)

「炎症性腸疾患の制御に向けて-腸管炎症の制御機構の解析-」

竹田 潔 先生(大阪大学大学院 医学系研究科 予防環境医学講座 免疫制御学研究室 教授)

 

【開催趣旨】

科学の発達した今日においてもなお、治療法の確立されていない疾患は数多く存在し、新たな治療法、治療薬の 開発が待ち望まれている。それらの医療ニーズ(アンメットメデイカルニーズ)を発掘することは治療法や医薬品 の開発にとって最も重要なことであるが、治療法の開発に取り組む大学研究室や製薬企業には医療現場でのア ンメットメディカルニーズが必ずしも十分に伝えられておらず、一方、医療従事者にはアンメットメディカルニーズ を治療薬開発に結び付ける方法論や技術が良く理解されていないのが現状である。 本セミナーはこのようなギャップの解消を目指した活動の一環として実施するものであり、アカデミアとして創薬 研究に携わっておられる著名研究者をお招きし、アンメットメディカルニーズを創薬シーズにつなげるための方 法論や技術の一端を紹介することで、アンメットメディカルニーズの発掘と治療法開発の一助としたい。

 

【主 催】

北海道大学 未来創薬・医療イノベーション拠点形成、創薬科学研究教育センター

【後 援】

北海道大学URA ステーション

 

【連絡先】

北海道大学病院 高度先進医療支援センター 創薬イノベーション支援室

TEL:011-706-7429 FAX:011-706-7977 E-mail:sayukohashiba@huhp.hokudai.ac.jp

担当 橋場 砂有子

 

北海道大学大学院薬学研究院 創薬科学研究教育センター

TEL:011-706-3773 FAX:011-706-4983

E-mail:rie-n@pharm.hokudai.ac.jp

担当 中井戸 梨恵

 

【講演1】 新津 洋司郎 先生(札幌医科大学 分子標的探索講座 特任教授)

「VA-liposome siRNA47を用いた線維症治療の臨床展開」

臓器線維症はあらゆる慢性臓器障害に共通な終末像として生ずる病態で、予後を悪化させる大 きな要因の一つである。しかしこれまでのところ、この病態を治療する有効な方法は、報告されてい ない。 我々はこれまで、組織線維症の責任細胞(コラーゲン産生細胞)である星細胞が  VitaminA(VA) を選択的に取り込む事、並びにコラーゲンを産生する際 HSP47 タンパクを必要とするという事実 に基ずき、星細胞中のこのタンパクを siRNA によって特異的に抑制する戦略、つまり VA を表出し た liposome に HSP47 に対する siRNA を含有させた薬剤を用いることにより、肝硬変、慢性膵炎、 肺線維症などで治療効果が認められる事を、動物実験で証明してきた。さらに昨年から日東電工 KK との共同開発として、米国を中心に臨床研究に着手した。 本セミナーでは、いわゆるベンチからベッドへの translational medicine の一例として我々のこ れまでの経験を述べたい。

 

【講演 2】 竹田 潔 先生(大阪大学大学院 医学系研究科 予防環境医学講座 免疫制御学研究室 教授)

「炎症性腸疾患の制御に向けて  -腸管炎症の制御機構の解析-」

クローン病、潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患は、近年患者数が増加の一途をたどる難 治性疾患である。この炎症性腸疾患は、我々の免疫系や腸管上皮層の機能異常だけでなく、腸内常 在菌や食事成分などの腸内環境因子の異常が相まって発症するものと考えられている。 すなわち、腸管では、腸内環境因子・腸管上皮層・免疫系の相互作用により腸管恒常性が維持 され、その関係性の破綻により腸管炎症が発症する。我々は、腸管炎症の制御機構を、腸管粘膜固 有層に存在する自然免疫細胞を標的として解析を行い、特有の自然免疫細胞サブセットが炎症を 正負に制御していることを見出してきた。 また、腸管上皮による腸管恒常性維持機構についても解析を行っている。本講演では、腸管炎症 の制御機構について、最新知見を交えて議論したい。