外部評価

平成21年度 6年制薬学教育自己評価

III 総括

理念と目標

 指導的薬剤師および医療薬学研究者の育成を目指す理念と目標達成のため,卒業論文の研究・調査等を通じて深い学識およびその応用能力を身につけるための取り組みが行われている。本学部薬学科の理念と目標は,ホームページを通じて広く社会に公表するとともに,学生・教職員への周知を図っている。今後もホームページやパンフレットを適宜改善し,より分かり易い情報発信に努める。

教育プログラム

 総合大学である本学では,人文科学,社会科学,自然科学等の広い選択肢から教養科目を選択でき,学生は豊かな人間性を育むための幅広い知識と同時に,専門科目の学習に向けての基礎的な学力を身につけることができる。また,教養での語学教育には講義に加え,コンピューターシステムを導入し自主的な学習を促し,専門科目では,ネイティブスピーカーによる薬学英語の講義,研究室でのセミナー形式の英語論文購読などを通して,社会のグローバル化に対応した語学教育が行われている。
 6年制薬学教育の開始にあわせ,薬学教育モデル・コアカリキュラムに適合する新しいカリキュラムを作成し,現在,新カリキュラムに沿って授業が進められている。モデル・コアカリキュラムの一部の学習内容が,選択科目に割り振られていることなどが問題点として浮かび上がってきているが,それら科目の履修を強く推奨することで対応している。それでも,モデル・コアカリキュラムの項目が非常に多いため,卒業に必要な専門科目146単位のうち123単位は必修科目であり,学生が自由に選択できる科目は多くない。平成23年度に予定されている北海道大学入学者選抜方法の変更に伴うカリキュラム見直しの際に,モデル・コアカリキュラムに関連する科目をすべて必修科目とするとともに,学生が自由に選択できる大学独自のアドバンストな科目の数を増やせるよう必修科目の整理・統合を検討する。
 本学部薬学科では,医療薬学の知識や理論を臨床研究へと展開するための「研究する力」を涵養することを重視しており,有機化学・物理化学・生物化学などの実習科目は4年制の薬科学科と共通である。加えて,卒業論文のための研究・調査と,それと並行する薬学論文講読演習に1.5年の期間をとっていることに最大の特徴を有する。さらに,各研究室には3年次2学期から学生が配属されており,早期より研究・調査や論文講読に取り組む環境が用意されている。
 実務実習事前学習は,認定MR演習/認定 CRC演習,救命救急実習,実務実習事前実習として,モデル・コアカリキュラムにある到達目標の項目はすべて実施されている。病院実習は,北海道大学病院薬剤部との密な連携のもとに行う。薬局実習では, 1施設1名の施設担当教員が責任を持ち,学生の指導・評価を行う。薬局へは担当教員の直接の訪問に加え,実習日誌等をWEB経由で閲覧できるシステムを用いることにより,毎日の学生の指導と,指導薬剤師との情報交換を行う準備を整えている。

学生

 クラス担任・副担任に加えて,各学年6名前後のグループを教授1名が担当し,きめ細やかな履修指導を行っている(グループ担任制度)。また,大学全体として,保健管理センター設置やハラスメント防止規定制定など,学生生活に関する相談・助言・支援体制の整備に努めている。加えて,キャリアーセンターやボランティア活動相談室を設置し,学生が主体的に進路を選択できるよう,情報の収集・提供に努めている。

教員組織・職員組織

 6年制薬学科および4年制薬科学科の専任教員は,大学設置基準を十分に満たしている。教育については,薬学科および薬科学科所属の教員が協力して授業,実習,演習等を分担しているほか,1年次では,総合大学である強みを活かし,各学部共通に設定された全学教育科目を提供している。

施設・設備

 6年制薬学科と4年制薬科学科の共通施設として,4つの講義室,セミナー室,基礎薬学実習用実習室,情報端末室,RI実験施設,動物飼育実験施設,薬用植物園などの教育研究に必要な施設が設置されている。また,実務実習事前実習のため,無菌操作室,調剤実習室,製剤実習室,模擬病室を備えた模擬薬局を設置しており,施設・設備は充実している。

外部対応

 本学部では,卒後研修や生涯教育の一環として,「生涯教育特別講座」および「先輩と語る講演会」を開催している。大学全体では,海外48大学と大学間協定を,海外85大学等と学生交流協定を結んでおり,国際交流の活性化を図るとともに,留学生の積極的受入に努めている。

点検

 点検・評価委員会を設置し,3年ごとに学部教育・研究の自己点検・評価を行っており,隔回(6年)毎に外部評価委員による評価を実施している。点検・評価結果に基づき,カリキュラムや授業・実習内容などの改善が図られている。

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