薬化学研究室
教授:松田 彰 准教授:市川 聡 助教:佐藤浩輔・村中一大
核酸有機化学および医薬品化学:生理活性物質の分子設計とそれらを合成する技術の開発
Nucleic Acids Chemistry and Drug Discovery
研究課題
1. 機能性核酸の設計と細胞機能調節への応用
2. オリゴヌクレオチドの化学
3. 制癌性,抗ウイルス性ヌクレオシドの分子設計と合成
4. ヌクレオシド系天然物の有機合成化学
5. 合理的創薬法の開発
私達は核酸有機化学を基盤とした医薬化学即ち、新しい薬の分子設計とその化学合成に日夜挑戦しています。薬はいうまでもなく生体に作用する薬物です。従って、新しい薬を考え出すには生体や病気のしくみを深く理解する必要があります。その上で、薬が体のどの部位にどう作用するかを考え、新しい薬の分子構造をデザインします。次にそれをどうしたら作れるかを考え、綿密な計画をたてた上で、化学合成を実行するのです。私達がデザイン、合成したECyd、CNDAC(下図)はこうして生まれた薬の一例で、極めて強力な制がん活性を示し、現在臨床試験が行われています。さらにヌクレオシド系天然物 (caprazamycin D)をリードとした薬剤耐性菌にも有効な抗菌剤開発も開始しました。また、ポストゲノム時代における創薬の基盤技術開発という視点から核酸医薬にも積極的に取り組んでおり、有機化学的なアプローチにより、生体内での安定性と細胞膜透過性を兼ね備えた化学修飾型機能性核酸(超核酸)の開発を行っています。さらにその応用研究として、mRNAを標的としたアンチセンス法やRNAi法、タンパクを標的としたアプタマーの試験管内分子進化法による獲得も行っています。