EN

入学希望の方へ

伝統ある北大薬学部でともに学び、研究しましょう。

在学生・卒業生の方へ

在学生、移行学部生、卒業生の方への情報や、各種証明書の請求などはこちらをご覧ください。

研究者の方へ

創薬科学研究教育センターと臨床薬学教育研究センターを設置し、総合的な創薬拠点へと発展することを目指します。

一般の方へ

オープンキャンパスや、薬剤師国家試験の情報などはこちらをご覧ください。

News&Topics

世界最高クラスの性能を持つルテニウム触媒を開発~既存のロジウム触媒を数十倍上回る高性能化で医薬品合成の効率化に期待~

2020.10.09プレスリリース

●世界最高クラスの触媒回転数を示すキラル2核ルテニウム触媒を開発。
●安価なルテニウム触媒で既存の高価なロジウム触媒よりも数十倍高い触媒性能を実現。
●様々な医薬品合成の効率化,低コスト化への貢献に期待。

 

北海道大学大学院薬学研究院の吉野達彦講師及び松永茂樹教授,大阪大学大学院工学研究科の林 高史教授及び小野田晃准教授(現北海道大学大学院地球環境科学研究院教授),武蔵野大学薬学部の穴田仁洋教授,株式会社リガクの菊池 貴研究員らの研究グループは,高い反応性と安定性を両立したキラル2核ルテニウム触媒の開発に成功しました。

 

多くの医薬品には右手体と左手体(鏡像異性体)が存在し,それぞれ作用が異なるため,それらを作り分ける技術は医薬品の開発や生産において重要となります。効率的な手法としてキラルな触媒を用いる触媒的不斉合成がありますが,高価な触媒を比較的多量に必要とすることが多く,幅広く応用されているキラルな触媒は限定的です。

 

本研究グループは,新しいキラル2核ルテニウム触媒を開発し,これが触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応において極めて高い反応性と優れた選択性を示すことを発見しました。このルテニウム触媒は,触媒的不斉炭素-炭素結合形成における世界最高クラスの触媒回転数を誇り,既存の高価なロジウム触媒よりも数十倍高い触媒性能(触媒回転数と反応速度)を示しました。すなわち,わずか0.5ppmの低濃度で高い性能を示し,一つの触媒分子から最高で約188万個もの生成物を作り出すことが可能です。さらに,ロジウム触媒では良い結果が得られない他の触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応や炭素-窒素結合形成反応においても高い選択性を示し,汎用性が高いこともわかりました。本研究グループは,今回開発したキラル2核ルテニウム触媒を詳細に解析した結果,ルテニウムとロジウムの金属の価数と酸化耐性の違いでロジウム触媒よりも高い触媒性能を示すことを解明しました。

 

本研究で開発したルテニウム触媒は,幅広い化学反応へ応用可能であり,医薬品をはじめとする複雑な有機化合物の生産効率化への貢献が期待されます。

 

なお,本研究成果は日本時間2020年10月6日(火)午前0時(英国夏時間2020年10月5日(月)午後4時)公開のNature Catalysis誌にオンライン掲載されました。

プレスリリースの詳細はこちら

発表論文:Chiral paddle-wheel diruthenium complexes for asymmetric catalysis.

Nature Catalysis DOI: 10.1038/s41929-020-00513-w

前のページへ