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自己免疫性肝炎の発症に関わるタンパク質を発見~病態解明や新規治療薬開発への貢献に期待~(薬学研究院 講師 柏倉淳一,教授 松田 正)

2020.11.15プレスリリース

ポイント

 

●自己免疫性肝炎の発症にはアダプタータンパク質である対するSTAP-1が関係。
●STAP-1欠損マウスでは,刺激物質によって発症する肝炎が重症化。
●自己免疫性肝炎の病態解明や新しい治療薬開発への貢献に期待。

 

概要

 

北海道大学大学院薬学研究院の柏倉淳一講師及び松田 正教授らの研究グループは,アダプター分子であるSTAP-1が,インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞の維持及び肝炎の発症を抑制する新たな分子であることを発見しました。

 

自己免疫性肝炎は,体の中にある細胞が自らの肝細胞を攻撃し破壊してしまう自己免疫疾患です。現在,日本国内では約1万人がこの病気に罹患していますが,明らかな原因が不明のため患者は生涯にわたり副腎皮質ステロイドという飲み薬を使用しなければならず,患者の生活の質の向上を目指すためには,自己免疫性肝炎の発症メカニズム解明や新しい治療方法の開発が急務です。

 

血液を流れる細胞のうちリンパ球と呼ばれる細胞が,自己免疫性肝炎の病態に関わることが知られています。マウスを用いた実験でリンパ球の一つであるiNKT細胞が自己免疫性肝炎を起こすのに必要不可欠な細胞であることがわかっていましたが,細胞内のどの分子がどのようにしてiNKT細胞を活性化し,肝炎を発症させるかについては詳しく解明されていませんでした。

 

研究グループは,iNKT細胞内に存在するアダプタータンパク質「STAP-1」(Signal-Transducing Adaptor Protein-1)が肝炎の発症に関わることを発見しました。STAP-1欠損マウスでは,血液中に存在するiNKT細胞の数が増加しており,刺激物質であるコンカナバリンAやαガラクトセラミドの注射によって発症する肝炎が重症化しました。一方,リンパ球特異的にSTAP-1が過剰に発現するSTAP-1トランスジェニックマウスでは,血液中のiNKT細胞の減少と肝炎発症の抑制が観察されました。本研究はSTAP-1の自己免疫性肝炎に対する新たな役割を発見したものであり,この疾患の新しい治療薬開発への貢献が期待されます。

 

なお,本研究成果は,2020年11月12日(木)公開のPLOS ONE誌に掲載されました。

 

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