伝統ある北大薬学部でともに学び、研究しましょう。
在学生、移行学部生、卒業生の方への情報や、各種証明書の請求などはこちらをご覧ください。
創薬科学研究教育センターと臨床薬学教育研究センターを設置し、総合的な創薬拠点へと発展することを目指します。
オープンキャンパスや、薬剤師国家試験の情報などはこちらをご覧ください。
2021.01.22プレスリリース
●CD47欠損Tリンパ腫細胞のマウスへの接種時には腫瘍形成や腫瘍転移が減弱。
●CD47はグアニンヌクレオチド交換因子AKAP13と結合し低分子量Gタンパク質RhoA活性を促進。
●CD47-AKAP13-RhoA相互作用の解析は新しいTリンパ腫治療薬開発に繋がる。
北海道大学大学院薬学研究院の鍛代悠一助教・松田 正教授らの研究グループは,マクロファージ免疫チェックポイント分子CD47が,低分子量GTP結合タンパク質(Gタンパク質)RhoAの活性を調節するグアニンヌクレオチド交換因子AKAP13と結合してRhoA活性を促進することにより,Tリンパ腫の腫瘍形成や腫瘍転移に関与することを見出しました。
悪性リンパ腫は,免疫を司るリンパ球ががん化して増殖し,リンパ組織に塊(腫瘤)を作る病気で年間10万人あたり10人程度の発生が報告されており,日本人の成人では最も頻度の高い血液のがんの一種です。この病気は,加齢,放射線,慢性炎症などの要因により,染色体や遺伝子に異常が起こることが発症の原因ではないかと考えられています。日本人の悪性リンパ腫の90%以上を非ホジキンリンパ腫が占め,中でもT細胞リンパ腫には,末梢性T細胞リンパ腫・非特定型,血管免疫芽球性T細胞リンパ腫,節外性NK・T細胞リンパ腫などがあり,多剤併用化学療法や放射線療法が行われています。しかし,副作用が多く,また,再発難治例では治療が難航することもあります。そのため,Tリンパ腫の発症や進展に関与する分子機序の解明により,副作用が少ない新しい分子標的治療薬の開発が望まれています。
今回,研究グループは,マクロファージ免疫チェックポイント分子であるCD47がTリンパ腫の増悪化に関与することを明らかにしました。本研究は,CD47のTリンパ腫増悪化に対する新たな役割を発見したものであり,悪性リンパ腫の新規治療薬の開発に繋がることが期待されます。
なお,本研究成果は2021年1月6日(水)公開のInternational Immunology誌に掲載されました。
詳細はこちら