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新型コロナウイルス変異株やSARSウイルスに有効な新規抗体の作出に成功,新規抗体医薬品の開発に期待(薬学研究院 教授 前仲勝実)

2021.09.15プレスリリース

ポイント

 

●変異株やその他のコロナウイルスを中和し,優れた治療効果を示すヒト抗体を作製。
●コロナウイルスの保存部位を認識し,抗体の定常領域と協調的に活性を強めるユニークな抗体と判明。
●新型コロナウイルス変異株やSARS関連コロナウイルスの治療薬として開発が進むことが期待。

 

概要

 

北海道大学大学院薬学研究院の前仲勝実教授,喜多俊介特任助教らの研究グループは,国立感染症研究所治療薬・ワクチン開発研究センターの高橋宜聖センター長,小野寺大志主任研究官,安達悠主任研究官,森山彩野主任研究官らと共同で,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株やSARSコロナウイルスなどのコロナウイルスに広く有効な新しいヒト抗体を単離し,構造決定及び病理評価を行うことに成功し,その高い中和活性と交差反応性のメカニズムを解明しました。
 
今回研究グループは,鳥取大学及びTrans Chromosomics社で開発した完全型ヒト抗体を作るマウス(TC-mAbTMマウス)から,SARS-CoV-2に対して強い抗ウイルス活性(中和活性)を有し,変異株やその他のコロナウイルスも中和できる抗体NT-193を単離しました。このNT-193抗体は,定常領域がIgG3タイプであることにより中和活性を増強するユニークな抗体であるとわかりました。さらに,IgG3タイプのNT-193抗体は他のSARS関連コロナウイルスに対しても強い中和活性を示したことから,広くSARS関連ウイルスに対して有効な抗体であると示唆されました。変異株(アルファ株やガンマ株)に対しても高い中和活性を示しました。
 
NT-193抗体はスパイクタンパク質の受容体結合部位(RBD)と高い結合活性を示すことから,NT-193とRBDとの複合体の立体構造をX線結晶構造解析により決定することができました。その結果,受容体ACE2結合領域とコロナウイルスの保存性の高い領域の両方のほぼ全てを認識する抗体であることを特定し,それぞれの領域が中和活性とコロナウイルス交差反応性に寄与することが明らかになりました。さらに,ハムスターを用いた感染実験からこれまでに臨床応用されている抗体医薬品と比較して,遜色のない優れた予防・治療効果を示すことがわかりました。
 
NT-193抗体は,新型コロナウイルス変異株に対する治療薬に加え,SARSコロナウイルスを含むSARS関連コロナウイルスに対する治療薬として開発が進むことが期待できます。
 
なお,本研究成果は,2021年8月24日(火)公開のImmunity誌に掲載されました。

 

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新型コロナ変異株やSARSに有効な新規抗体の作出とその特徴

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