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2022.03.07プレスリリース
●涙に含まれる長いアルコールを産生する酵素(Far2)を同定。
●長いアルコールを産生できないマウスが重篤なドライアイになることを発見。
●涙液油層をターゲットにした新たなドライアイ治療薬の開発に期待。
北海道大学大学院薬学研究院の木原章雄教授らの研究グループは,涙液に含まれる長いアルコール(極長鎖アルコール)がドライアイ防止に重要であることを明らかにしました。
涙液の表面に存在する脂質の層(=油層)は涙液の蒸発を防止するなどの役割をもち,角膜(眼球の表面)の健康を保っています。油層には多様な脂質が存在しますが,多くは長いアルコールを分子内にもっています。しかし,それらがどのように産生されるのか,どのような役割をもつのかは不明でした。研究グループは,Far2という酵素が涙液油層中の長いアルコールを産生することを明らかにしました。また,研究グループはFar2をもたないマウスを人工的に作成し,そのマウスが重篤なドライアイ症状を示すことを見出しました。これらのことから,長いアルコールを含む脂質がドライアイ防止に重要であることが明らかとなりました。
ドライアイの主要な原因は涙液油層の異常ですが,これを改善する根本治療薬は存在しません。本研究成果によって,涙液油層をターゲットにした新たな治療薬の開発が進むことが期待されます。
なお,本研究成果は日本時間2022年3月3日(木)午前10時公開のFASEB Journal誌にオンライン掲載されました。
論文名:Formation of fatty alcohols–components of meibum lipids–by the fatty acyl-CoA reductase FAR2 is essential for dry eye prevention(マイバム脂質の構成成分である極長鎖アルコールの脂肪族アシル-CoA還元酵素FAR2による生成はドライアイ予防に必須である)
URL:https://faseb.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1096/fj.202101733R
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