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細胞移植を加速するミトコンドリア活性化細胞を製造~心疾患を対象としたミトコンドリア活性化細胞(MITO cell)を用いた細胞移植療法の検証~(薬学研究院 准教授 山田勇磨)

2022.03.24プレスリリース

ポイント

 

●ミトコンドリアが活性化された移植用幹細胞(MITO cell)の製造に成功。
●心筋虚血再灌流モデルマウスを用いた細胞移植療法の検証実験において,良好な治療成績。
●MITO cellの適応疾患拡張による細胞移植療法の加速に期待。

 

概要

 

北海道大学大学院薬学研究院の山田勇磨准教授,原島秀吉教授と同大学病院小児科循環器班の武田充人講師,佐々木大輔医員,阿部二郎医員(現:ケンブリッジ大学)の研究グループは,ミトコンドリアが活性化された移植用細胞(MITO cell)の製造に成功し,心筋虚血再灌流モデルマウスを用いた細胞移植療法の検証実験を行い,「ミトコンドリア活性化細胞(MITO cell)」が心疾患を対象とした細胞移植療法において良好な治療成績を示すことを報告しました。
 
細胞移植療法は,持続的な移植効果維持が困難とされており,その原因として移植細胞が荒廃した心不全環境(酸化ストレスの過剰発生,エネルギー産生能の低下など)に適応が不十分であることが挙げられます。そのため研究グループは,酸化ストレス発生源でありエネルギー産生を担うミトコンドリアを活性化した移植細胞(MITO cell)の製造を試みました。MITO cellは,ミトコンドリア型ナノカプセル(MITO-Porter,特許第5067733号)を用いて心筋前駆細胞(CPC:Cardiac Progenitor Cells)のミトコンドリアに機能性分子を送達し製造します。心筋虚血再灌流モデルマウスを作成しMITO cellを用いた細胞移植の治療効果を評価した結果,MITO cell移植群において,ミトコンドリア機能の亢進,心機能の改善,心筋組織の線維化を抑制する治療効果が観察できました。これらの治療効果は,従来の細胞移植療法の効果を大幅に上回るものです。
 
MITO cellを移植細胞として用いることで,細胞移植の課題点を解決する可能性があり,心不全を含む心疾患治療への応用が期待されます。さらに,MITO cellの適応臓器・疾患を拡張することで,細胞移植療法の臨床応用を飛躍的に加速させることが期待されます。
 
本研究成果は,2022年3月22日(火)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。
 
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ミトコンドリア活性化細胞(MITO cell)を用いた細胞移植療法の概念図

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