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ヒト角質層セラミド分子種の全容の解明~皮膚疾患の診断、肌の美容とセラミド 組成の関係解明に期待~(薬学研究院 教授 木原章雄)

2022.06.06プレスリリース

ポイント

 

●セラミドの構成要素(脂肪酸、長鎖塩基)の炭素鎖長を区別して測定できる分析法を開発。
●ヒト角質層におけるセラミド分子種の全容を解明(1,581分子種の同定)。
●多様な炭素鎖長をもつ長鎖塩基が産生される分子機構を解明。

 

概要

 

北海道大学大学院薬学研究院の木原章雄教授らの研究グループは、セラミド分子種を網羅的に解析する方法を開発し、ヒト角質層に1,581分子種が存在することを明らかにしました。
 
皮膚の最外層に存在する角質層(角層)には脂質の多層構造体が存在し、透過性バリア(皮膚バリア)を形成しています。この皮膚バリアは外界からの病原体、アレルゲンなどの侵入及び体内からの水分の損失を防ぐという私たちの健康にとって重要な働きをしており、その異常は感染症、アトピー性皮膚炎、乾燥肌、魚鱗癬といった疾患の発症あるいはリスク増大につながります。角質層にはセラミドと呼ばれる脂質が多量に存在し、皮膚バリア形成において中心的な役割を果たしています。セラミドは長鎖塩基と脂肪酸という2本の疎水鎖が結合した構造をしていますが、25クラス(長鎖塩基5種類、脂肪酸5種類の組み合わせの違い)に分類されます。また、それぞれのクラスの中にも長鎖塩基あるいは脂肪酸部分に炭素鎖長の違いが存在するため、全体の分子種としては1,000を超えると予測されていましたが、これまではその全容が明らかにされていませんでした。研究グループは液体クロマトグラフィー(LC)とタンデム質量分析(MS/MS)を組み合わせた測定法により、今回初めてヒト角質層に23クラス、1,581分子種が存在することを見出し、ヒト角質層セラミドの全容を解明することに成功しました。長鎖塩基側の炭素鎖長(C)としてはC16からC26のものが存在していましたが、研究グループはそれらが産生される分子機構についても明らかにしました。本研究成果は皮膚疾患や肌状態とセラミド組成との関係の解明につながり、開発したセラミド測定法は皮膚疾患の診断や肌状態の計測に有用です。今後、医療や美容関連産業への応用が期待されます。
 

なお、本研究成果は、2022年5月30日(月)公開のJournal of Lipid Research誌に掲載されました。
 
論文名:Whole picture of human stratum corneum ceramides, including the chain-length diversity of long-chain bases(長鎖塩基の鎖長多様性を含むヒト角質層セラミドの全容解明)
URL:https://www.jlr.org/article/S0022-2275(22)00068-2/fulltext
 
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本研究の概要図

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