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抗がん剤によるがん免疫の活性化メカニズムを解明~より効果的ながん免疫療法の開発に期待~(薬学研究院 助教 鍛代悠一)

2022.07.04プレスリリース

ポイント

 

●抗がん剤の一種であるトポテカンががん免疫の活性化を促進することを発見。
●トポテカンは新規標的であるRPL15を阻害することでがん免疫を増強。
●RPL15を選択的に阻害する薬剤の開発により、がん免疫療法の改良に期待。

 

概要

 

北海道大学大学院薬学研究院の鍛代悠一助教、松田 正教授らの研究グループはトポテカンと呼ばれる抗がん剤が新規の標的タンパクであるRPL15を阻害することにより、がん免疫の活性化を促進することを明らかにしました。
 
細胞は化学物質・放射線・温度ストレスなど様々な傷害を受けた際に、DAMPと呼ばれる免疫を活性化させる分子を放出することが知られています。がん細胞からのDAMPの放出はがん免疫の活性化とそれに伴うがん細胞の排除を促進することから、がんの治療効果にも影響すると考えられています。これまでに研究グループはトポテカンと呼ばれる抗がん剤で処理したがん細胞から免疫を活性化させるDAMPが放出され、がん免疫を促進させることを報告していました。しかし、どのようなメカニズムでこのような現象が誘導されるのかは不明でした。
 
本研究ではトポテカンには既知の標的タンパクであるトポイソメラーゼI以外に新規の標的としてRPL15が存在することを見出し、トポテカンはRPL15を阻害することでがん細胞からのDAMPの放出を促進することを解明しました。さらに抗PD-1抗体に対して抵抗性の皮膚がん(メラノーマ)腫瘍において、RPL15の機能を阻害することで感受性に変化することをマウスの腫瘍移植モデルで明らかにしました。本研究の結果からトポイソメラーゼIには作用しないRPL15に特異的な阻害剤が開発できれば、抗PD-1抗体などのがん免疫療法の改良への貢献が期待できます。
 
なお、本研究成果は2022年6月20日(月)にJournal of Immunology誌にてオンライン公開されました。
 
論文名:Identification of RPL15 60S ribosomal protein as a novel topotecan target protein that correlates with DAMP secretion and antitumor immune activation(60SリボソームタンパクであるRPL15はトポテカンの新規標的であり、DAMP放出とがん免疫の活性化に関与する)
URL:https://www.jimmunol.org/content/209/1/171
 
詳細はこちら

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本研究の概念図

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